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走る物流マンの給水所

走る物流マンの給水所

第12回日本山岳耐久レース

第12回日本山岳耐久レース(24時間以内)
「長谷川恒男CUP」 レポート



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10月10日は待ちに待った「ハセツネ」の日だ。
昨年より参加者が増えて、合計1900人ほどがエントリーしており、山岳ランの人気ぶりがうかがえる。

<「ハセツネ」って何?>
あきる野市を13時にスタート、今熊神社から尾根に取り付き、入山峠、醍醐丸、生藤山、土俵岳、笛吹峠、西原峠、三頭山、風張峠、月夜見山、御前山、大ダワ、大岳山、御岳山、日の出山、金比羅尾根を走り、翌日11日の13時までにあきる野市に戻ってくる、全長71.5kmの山岳コース。
途中浅間峠が第1チェックポイント、月夜見山第2駐車場が第2チェックポイント、御岳山の長尾平が第3チェックポイントとなっている。
選手は各自リュックに水や食料、防寒服や雨具、ライトや電池、その他を入れて走るが、途中給水は第2チェックポイントで1.5Lだけ与えられるだけで、ほかでは一切無い。ストックは第1チェックポイントから使用できるが、それ以前に使用すると失格になることもある。もともとヒマラヤなどへ遠征する登山隊達の訓練から始まっただけに、選手自身の体力や装備、技術なども高くなければこのレースでは完走できないとされる。優勝する選手のタイムは8時間台というからものすごい。

<気になる天気>
ところで、今年は台風の当たり年で、前日まで関東地方は台風22号の通過で電車は止まり、道路は冠水する、土砂崩れで死人が出たりと、ものすごい状態だった。これでは奥多摩の山道も崩れたりするのでは?と半ば諦めかけていた。ところが天気予報のとおり、夜半には雨はピタリと上がり、雲の隙間から星が見えるほど、天気は急激に回復に向かった。

それまでは、「台風一過」による南風が暖気をもたらし、最高気温は28度と予想されたので、暑さ対策に重点を置いた。1週間前の現地での練習では浅間峠(第1チェックポイント)までに2Lの水が無くなるほど暑かったので、急きょ2L用給水バッグを追加購入し、最大4Lを担いで走ろうとしていた。また体力消耗を想定し高カロリーの流動食やサプリメント、梅干しなどの食料をぎりぎりまで用意していた。
ところが当日の朝、起きてみると「台風一過」でなく、「秋雨前線接近中」の、今にも降り出しそうな天気だった。やや肌寒い。完全に裏切られた!

<陸上部仲間といよいよスタート>
会社の陸上部仲間の川田君、尾畑君、高木君らと、武蔵五日市駅で10時半に待ち合わせし、一緒に受付をし、体育館でさっそく着替えや最終準備に取りかかった。さすがに今年は体育館が選手であふれかえっていた。

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スタート前準備を進める仲間=尾畑、(川田+高木)、小瀬

そうこうするうちに12時半となり、開会式が始まった。同時にぽつぽつと雨も降り始めた。これまで「暑さ対策」ばかりしていたせいか、「雨対策」がやや自信がない。一晩中雨だったらどうしようか・・・と憂うつな気分のまま、13時となり、レースはスタートした。気が付いたらバナナやゼリーは取ったが、昼飯を食べていなかった!!後悔先に立たず!
仲間と固い握手を交わし、「また明日会いましょう!」と言って走り出した。真実から出てきた台詞である。

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中学校のグラウンドが集合場所、申告タイム毎の出走で、数字の表示は「○○時間」の意味 右はスタートゲート

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スタート前の緊張の姿、「また明日会いましょう!」

ゆっくり仲間と一緒に市内を走り、秋川を渡り、広徳寺方面へと急な勾配を登ってゆく。沿道からは地元の方達が盛大な応援をして下さるので有り難い。獣よけの電線が走る山の端を左に見ながら暫くはアップのつもりで焦らずに前の選手に付いてゆく。スタート直後とあって山道は大渋滞だ。無駄な体力は使わずに行くことにした。

峠を越え、変電所を左に見ながら反対側の谷の方へと下りてゆく。いったん下ると右へ曲がり今熊神社への参道を上がってゆく。神社の石段を登り始める。鬱そうとした針葉樹の中を急な山道が右へ左へと曲がりながら登ってゆく。途中の岩場では順番待ちとなり暫し休憩?一気に登ると視界が開けた。あきる野の市街地が見渡せる、随分登ったなと感心する。スタート後40分経過していた。さらにコースは上りが続き、今熊神社の境内が見えてきた。今熊山だ。

<今熊山を過ぎて>
さらにコースは徐々に高度を上げながら刈寄山へと続いてゆく。序盤は上りが多いので結構心臓にきつい。入山峠は不思議なところで、これだけ山道を走ったのに、ふと気が付くと眼下に舗装道路があったからだ。ここでは舗装道路を渡ると階段の下に列が出来ていた。階段を上がって次の山へと向かってゆく。このあたりは標高はそれほど高くはないが、アップダウンが激しくて消耗しやすい。

市道山への分岐の所では、係員がコースを教えてくれる。鋭角カーブで左下方向に戻る感じでコースはUターンに近い状態。
ぽつぽつと雨が降り出す。と同時に下腹部に膨満感が出てきた。締めすぎたリュックのベルトによる圧迫と冷えで腹の調子が優れない。ガスが出そうで出ない。「・・・ああ、やばいなあ!」と急激に不安になる。それと、右の靴の中でやや違和感が出てきた。まめでも出来るのだろうか?
大会の2週間前に買ったばかりのモントレイルの「キナバル」はスパッツが内蔵されていて、ゴミやドロが靴の中に入ってこないという優れものだったが、はき慣れるまでの時間が短かったかもしれない。しかし今さら後戻り出来ない。

<市道山から醍醐丸までは鬼門?>
練習ではこのあたりで何回も道を間違えて、コースから外れた苦い経験がある。
トッキリ場の方へ下りてしまったり、気が付いたらヤブこぎをしていたりで、自信がないところだ。しかしレースとなると全くその心配もなく、前の選手の後を追っているうちに、気が付いたら醍醐丸まであとわずかの所まで進んでいたことに気付きほっとした。
相変わらず重くたれ込めた雨雲の間から雨が降ってくる。帽子は撥水機能のあるものを調達してきたが、ものすごく役に立っている。
いつ雨具を着るか迷っているうちに、醍醐丸の最後の急登にかかり、あっという間に標高867mの頂上に着いた。係員が右方向へと誘導してくれるので有り難かった。挨拶をして通り過ぎる。

<浅間峠まで>
その後は1000m以下の笹の多い尾根を小刻みに上下しながら7km程を乗り越えることになる。980mの連行峰は記憶があるが、990mの生藤山は巻き道を通って通過したと思うので、自分では頂上を通過した記憶がない。三国山は見晴らしが良く、多くの選手が休憩+補給をしていたが、私は通り過ぎる。雨がしっかりと降り出したので、雨具をどうしようかと悩むがそのまま走る。

16時半を過ぎた頃からあたりは暗くなりだし、ぼちぼちライトを点ける人が増えてきたので、自分もライトを頭に付ける。LEDの光は濡れた足元を照らすと反射して白っぽく見えるので、足場の善し悪しが判断できないことが分かった。さらに細かい雨粒が目の前で乱反射して白い霧状に見えるので視界が悪い。それならハロゲンランプで照らすと・・・LEDよりはましだが、昨年の雨無しコンディションと比べるとかなり悪い。見え方も昨年より随分悪い。

急な下りで足を取られしりもちを付いた。慌てて立ち上がったがお尻は真っ黒、泥だらけ!!やや気落ちしながらアップダウンを越えてゆくと熊倉山(966m)を過ぎた。ということはあと少しで浅間峠だ。すっかり暗くなった山道を下ってゆくと、前方から発電機の音と、係員の声が聞こえてきた。第1関門の浅間峠に到着。走行距離は22.66km、所要時間は5:06:13。時刻は18時6分だ。昨年より少し早い。

<雨具を着て、ストックを用意>
吐く息が白い。雨具を急いで取り出して上だけ着る。ボタンは掛けないで、全面を少し開けておく。続いてストックを取り出す。この雨ではストックがないと下りが滑りそうで怖い。おにぎりを頬張る。あとゼリーとアミノバイタル。梅干しも忘れずに食べる。浅間峠まで5時間もの間を休憩無しで来たので、出来れば腰を下ろして休みたいが、泥だらけになるのがいやで、立ったままの休憩。

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浅間峠の第1チェックポイント、スタートから20km地点 ここからストックが使用できる


<月夜見を目指して>
浅間峠からはストックが使えるので新たな気持ちで出発!出発後の上りをストックで力強くリズミカルに支えながら登って行く。下りでは転ばぬ先の杖の通り、足場を確保すべく頻繁に2-3歩先の地点にストックを置きながら下りてゆく。あちこちで転ぶ人がいるが、大体がストックのない選手だ。このあたりからは緩やかな登り基調のコースになるので、序盤の小刻みなアップダウンと比べてやや楽だ。しかし同時に疲れも出てくる頃で、ペースは上がらない。日原峠を過ぎ、土俵岳を過ぎると標高は1000mを越えてきたのでやや冷え込んできた。なだらかな尾根のような所に出た。丸山だ。標高は1098mだ。一気に下るとそこは笛吹峠(うずしきとうげ)だが、ここも休まず通過。また登ってゆく。

足場は悪くはないが所々木の根があって、これに足を取られると捻挫する可能性がある。実際右足も左足も軽く捻っているので、余計慎重になってしまった。時間の経過とともにだんだん廻りの選手が減ってきた。西原峠までのコースはペースメーカーが欲しかったので、数人の集団の後ろに付いて歩いた。上りでは追い付き、下りでは引き離されそうになりながら付いてゆく。そして西原峠を通過。32km地点だ。腹のガスが溜まってきて「おなら」がプスプスと出る。リュックのベルトとウェストバッグのベルトで腹が圧迫されているからだろう。非常に不快だ。トイレに行きたい。

槇寄山(1188m)を過ぎるといよいよ三頭山へのアプローチに掛かる。ごつごつした岩場が幾重にもあり、ストックをカチカチ鳴らしながら足場を固定し、越えてゆく。雨が休むことなく降ってくるので、帽子のツバからしずくが落ちてくる。視界は白い霧状の雨粒が占領している。前がよく見えない。険しい岩場が終わりコースは一旦下り始めた。間もなく避難小屋に到着だ。

<避難小屋でトイレ休憩>
避難小屋に到着。標高1430m。そのままトイレに駆け込む。なかなか簡単にガスが出るものではないので、しばらく時間を掛けて腹の内圧を下げてみた。その後補給。おにぎりを食べ、ゼリーを流し込む。梅干しも食べる。2Lの水はまだ結構残っている。予備の2Lはそのままなのでこの予備の分だけ要らなかったかもしれないが、お守りだと考えよう。アクエリアスの水は飽きてきたが、無くなるまで待とう。月夜見で水を多めに入れてもらおう・・・などと気の早いことを考えていた。

<三頭山から鞘口峠まで>
気分も新たに三頭山を目指す。最後の上りに掛かりしばらくすると間もなく上の方から「三頭山の頂上です!」という係員の声が聞こえてきた。
内心、えっ、もう三頭山?という気持ちだった。昨年もそうだったが、三頭山の頂上(1527m)では休まずにそのまま鞘口峠へと向かって山頂を後にした。この下りは急で足場が悪いので晴れていても注意が必要だ。今日は雨で山道が泥んこ状態で滑りやすいので走れない。ひたすら転ばないように歩くのみだ。1時間近く掛かって鞘口峠に着いた。標高は一気に下りて1140m。休まず通過。

<第2関門>
鞘口峠からまた急なのぼりに掛かる。最初の急登は気力で登るしかないが、風張峠までのコースは昼間なら気持ちの良いコースだ。多少走れそうなコースだが、今日は滑るので走れない。ひたすら歩く。昨年野生の鹿の声を聞いたあたりでは雨と風の音しか聞こえなかった。舗装道路に出たり戻ったりを繰り返し、ようやく月夜見山(1147m)を越えて第2関門の月夜見山第2駐車場に到着。

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月夜見山 第2チェックポイント タイム計測施設           給水所では各人に1.5Lの給水が許される

時刻は真夜中の12:11だ。所要時間は11:11だ。走行距離は42km、全行程の半分は過ぎたので、これから後半戦と言うところか?休憩用のビニルシートは雨水が溜まっていて全く使えないので近くの草場にリュックを下ろした。給水場でスポーツドリンクと水を同じ量をbagに入れてもらう。これが最初で最後の給水だ。着替えをしようかどうか迷ったが、寒くないのでそのままの格好で行くことにした。ゼリーやスナック類、梅干しを摂る。ついでにデジカメでスナップを撮る。(結構余裕だなあ!)

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雨で休憩所は水浸しの状態で誰も利用できない         給水所前で記念撮影!(余裕だね!)

<御前山へ向けて出発>
暫くは小河内峠への下り斜面をストックを使って慎重に下りてゆく。足場はぬかっている上に滑りやすく、あちこちで「ああっ!」「きゃっ!」という悲鳴にも似た声が上がる。幸い自分は転ばなかった。小河内峠のあたりは何だか眠くなってきて、歩幅が小さくなり、意識が時々遠のくのが分かるから非常に辛い。後続の選手のライトが徐々に近づいてきては抜かれてゆく。特急列車の通過待ちをしている各駅停車みたいだ。

長い急斜面に取り付く。昼間ならうんざりするほど長い眺望の利く上りだが、真夜中だと目の前1-2mの、ライトが照らす部分しか見えないので精神的には楽かもしれない。春先にはこの斜面の上の方ではカタクリのお花畑が満開になってとてもきれいだそうだ。でも今はどうでも良いことだ。登りがきつくなるに従って、ストックに力が入るようになった。上半身でぐいぐい登ってゆく。ちょっと暑くなってきた。しばらく行くと道が平らになり、左に休憩に適した椅子がたくさん並んでいる。たくさんの選手が休憩している。自分も「どっこいしょ」と言って休憩にした。

<着替え>
汗で濡れたシャツを脱ぎ、真夜中用にと用意したウールの長袖シャツに着替える。その上にいきなり雨具を着る。どうせ暗いから分からないだろうと言うずぼらな発想だ。昨年と比べると今年は随分暖かい。素っ裸になっても寒くないからだ。昨年は寒くてあごがガタガタ鳴りっぱなしで、3枚も着込んでいたのに、今年は雨が降っていてもこの程度か・・・?椅子に座って最後のおにぎりを食べ、行動食、ビタミン剤をとる。その後、なぜかリュックの中を整理し始めた。濡れたウエアーは奥の方に詰め込む・・・。眠いせいか動作が極端に遅かったみたいだ。一通り済んで気が付いたら廻りの選手はほとんどいなかった。(もしかしたら、ここで無意識のうちに寝ていたかもしれない!)

<御前山のあたりは意識不明?>
着替えもしたせいか、さっぱりして気持ちよく歩けるようになった。しばらく行くと御前山の頂上に着いた。しかしさっきの長い休憩を取ったので休まず通り過ぎる。今度は下りに入る。ここでも足場が悪く、まともに歩けない。というか意識が無い状態で歩いているので、所々で一歩踏み間違えれば谷底転落の可能性も有ったかもしれない。随分たくさんの選手に道を譲ったようだ。

どこをどうやって歩いたか未だに記憶が飛んでいる部分だが、気が付くとそろそろ大ダワに到着するようだ。後ろに数人の選手を従えての下山の場面から記憶がある。舗装道路に明かりとテントが建っていて、人の気配がする。発電機の音も聞こえる。ほっとして舗装道路に降り立つ。休みたい気持ちを抑えて暗い山道へと入ってゆく。雨が相変わらず降っていて、帽子のツバからぽたぽた垂れてくる。しばらく歩いてゆくと真っ暗闇に戻り、また眠くなってきた。

<大岳山は険しい登りと壁のような下り>
相変わらず意識が無いまま辛抱強く登ってゆくと、山道はごつごつした岩場に掛かり、鎖場が登場する。さすがに緊張して目が覚める。やっとの思いで大岳山の頂上に到着。時間は全く覚えていない。結構な数の選手が暗がりで静かに魂の抜けたような顔で休んでいる。自分も同じ顔をしているのだろうなあ。給水と行動食を流し込む。腹の調子は相変わらずで、ガスが出そうで出ないので、腹がパンパンに張ってきた。腹鳴がハッキリ聞こえてくるのでちょっと恥ずかしいが、気にしていられない。

気が付くとあたりがわずかに明るくなりつつあるようだ。と同時にライトの光がやや弱くなってきた。ハロゲンランプは電池が切れるといきなり暗くなるので、電池交換のタイミングは逃してはいけない。電池交換をしなければと思いながらも電池ケースを開けようとするが滑って開かない。いつもなら簡単に開くのだが今日は何故か開かない。仕方がないのでそのままLEDで進む。岩場の急な下りを恐る恐る下りる。

随分下りたところで大岳山山荘に着いた。ほぼ夜が明けたが、ライトはまだ必要だ。このあたりは泥沼のようで足場は田んぼのような所で、靴は泥だらけ、田植えの後のようにひざまで泥んこ状態だ。おまけに斜面は急で、所々に鎖場がある。ようやく睡魔との闘いが終わりかけたのか、意識がハッキリしてきた。

<御岳山>
足場に気を付けながら御岳山へと近づいてきた。標高はどんどん下がってゆき、御岳山まであと僅かとなり、綾広の滝の上流に位置するところで自然水の湧いているところがあった。たくさんの選手が水を汲もうと順番待ちをしていた。足元は台風のお陰で増水していて川の状態だ。まだ水はあったので、ここは通り過ぎ、次のチェックポイント、長尾平へと急ぐ。走ろうとするが何故か足が廻らない。わずかに登って長尾平に着いた。

前回はここで夜が明けたので、今回は随分遅い。時刻はもう6時を回っている。所要時間は17:20だ。走行距離は58km、あと13.5kmだ。とりあえずトイレを探すが、どこだか分からない。ベンチに座っている選手はみな固まっている。みな疲れているのは同じだが、探し回った挙げ句に係りの人が「トイレはこの先の御岳神社の下です!」と教えてくれた。早く聞けば良かった。お陰で5分ロスした。そのまま補給せずにトイレを目指してさらに進む。たしかに御岳神社の階段を下りた左下にトイレがあり、私はそこでゆっくりガス抜きを試みた。長い時間が過ぎて生き返ったような気持ちになり、またコースに復帰した。食料も流し込んだ。口の中がカビが生えたかのようにぬるぬるして気持ちが悪い。歯磨きがしたい!

気が付いたら夜中の変な服装が妙に目立っていたので、まず雨具を脱いだ。変な下着も脱ぎシャツを着替えた。しばらく快調に走ったが、後方からもっと速い選手が抜いていったので、すぐ反応し、彼に付いていった。

<日之出山からはあとは下るだけ>
しばらくするともう暑くなってきたので、日之出山の直下でまた着替えだ。今度は雨対策に購入したシャツを着てみようと思い、それを着た。着替えはこれが最後の1着だ。着替えが終わり、さっきの選手を追いかけるが、なかなか追い付かない。日之出山(標高902m)の山頂でも見あたらないので、山頂は素通りで最後の金比羅尾根に入った。暫くは快調に走る。ところが路面がぬかって滑るので、やる気がだんだん削がれてゆく。そうこうするうちに後方から人の気配がしてきて、後続の選手が凄いスピードで追い越してゆく。というより、自分のスピードが遅すぎるのかもしれない。

ふと気が付くと歩き出していた。上りは仕方ないとしても、下りで何故か走っていない。またしても腹鳴がし始め、ガスが溜まりだしたようだ。このガスのお陰で眠くなることに気付いた。随分時間が経って、ようやく金比羅山神社まで来たときにはほっとしたが、時刻はとうに8時を回っていた。このままでは19時間台では完走できないかもしれない!やや焦りながらも足は空回りで、走っても高度は下がらない。右手前方に五日市の市街地が見下ろせるが、五日市の中学校は随分先だ。時間の経つのがえらく早い。

<ゴール>
ようやく山道が終わり、人家のそばの舗装道路に飛び出した。あとはゴールまではわずかだ。前回はここから驚異的なダッシュでゴールまでが短かったが、今日は何故かゴールが遠い。・・・・・・
午前9時07分、スタートしてから20時間07分38秒、71.kmのコースの終点に到着。長いレースは終わった。

ゴールとほぼ同時に、そこには川田君がいたので、一瞬驚いたが、その直後私は全てを悟った。今回は私が一番遅かったという事実。
ショックだけれど、正直にその結果を受け止め無ければならない。何故今回はこんなにタイムが悪かったのだろうか?
敗因を分析するに、まず雨が降って山道が滑りやすかったこと。そして、私が睡眠不足で大会に臨んだこと。そして最大の原因は腹の調子が悪く、ガスが溜まった事による不快感による集中力の低下かなと分析した。

今回陸上部ではトップだった川田君が、「無水カフェイン」のお陰で深夜も快適だったというので、次回は私も試してみようと思う。

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完走証を手に、(左から)川田、 尾畑、 小瀬


今回の記録  総合タイム     部門別     総合順位 
川田     17:21:49  95/229    338/968
尾畑     19:21:53  147/229   531/968
小瀬      20:07:38  176/229   633/968
高木      西原峠(32km地点)でリタイア

公式記録:
総エントリー 1,907名
出走者  男子1,379名/女子195名 (合計1,574名)
完走者  男子  864名/女子104名 (合計  968名)
完走率  男子  62% /女子 53% (合計61%)


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